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第37回部落解放研究京都市集会

  3分科会

「新たなまちづくりの創造」

永住できる環境と地域社会の担い手づくりの実現

 

                              みやこめっせ特別展示場

T 分科会テーマ等 

 司 会     山田 康夫(部落解放同盟京都市協議会)

 パネリスト  井ノ口 勝彦(千本ふるさと共生自治運営委員会事務局長)

                                事例報告「千本地域における定期借地権を活用した
                                                         コーポラティブ住宅の取組について」

        杉本 利夫(京都市都市計画局住宅室住宅管理課担当課長)

事例報告「改良住宅の空き家活用について」

コーディネーター   寺川 政司(CASEまちづくり研究所 代表(工学博士))

「事例報告を受けてのまちづくりの総括」

 記 録      木村 重夫(京都市職員部落問題研究会)

 参加者    62名

 

U 分科会開催趣旨

  部落の住環境は、大きく変化をとげました。しかしながら、部落外への人口流出が高齢化と貧困化に拍車をかけ、地域コミュニティの弱体化、教育や就労等、深刻かつ多様な問題を抱えているのが今日の「部落の姿」である。このような部落の現状と課題を考えずに、新しいまちづくりを創造することはできない。

新たな「住み続けられる魅力あるまち」を行政主体のまちづくりから、住民と行政とのパートナーシップによるまちづくりへ展開しようとしている。新たなまちづくりの実践とアイデアを提案して、参加者と一緒に認識を深めていく。

 

V 事例報告

司会:山田 康夫さん

案内に書かしていただいたとおり、京都市内の部落の劣悪な環境というのは、部落解放運動並びに同和行政と相まって、環境改善によって一定の成果を挙げてきました。

今、それぞれ建ってきた改良住宅の老朽化に伴い、各地域では改良住宅の建て替えを契機にした新しいまちづくりが始まってきている。まちづくりの対象である町の姿は、どういう形で変わっていったのだろうということで、ここ数年この分科会では、特に2000年に行われた京都市の同和地区住民の生活実態把握事業、これの中間報告を基にしながら各地域の実態を明らかにしてきました。

御承知のとおり、一番問題になっているのは人口の流出です。一番多かった時に比べると、13近くに人口が減っている地域もある。人がいなくなると、やはり町としての機能が全く果たせない。こういった町の姿になってきている。

  高齢化・低所得者層だけがそこの町にしがみつかなければならない現状が生まれてきている。町が機能しないとコミュニティが低下していき、人が住むことにとって不都合なことが沢山問題として生じてくるという現象が起こっている。

  そのことを克服するために、昨年から以降、今年1年に掛けてどう取組みを行ってきたのか、今日は楽只における取組み、京都市の住宅行政の中で行われた一つの事例を紹介して、またそのことを検証して、明日からのまちづくりの実践に生かしていければと考えます。

  それでは早速報告等に移って行きたい。

 

1「千本地域における定期借地権を活用したコーポラティブ住宅の取組について」

井ノ口 勝彦

○ 背景

パワーポイントを使って、地元の「じうん」の活動と込みで説明したい。

古い写真だが、楽只地区では、1950年代から1980年代まで住環境整備が行われてきた。しかし、改良住宅の狭小や老朽化などの問題から、市営住宅に満足しない青年層を中心とした流出が続き、それに伴う子どもの減少や高齢者の上昇が目立つようになり、地域内のコミュニティも弱体化してきた。

そこで、1993年に地元まちづくり組織、千本ふるさと共生自治運営委員会(略称じうん)が設立された。

「じうん」では、自分たちのまちは自分たちで造っていこうと、住民の意見を反映させたワークショップ等による市営住宅の建替えが「じうん」主催で行われ、その結果、市営住宅という制限はあるもののそれぞれの生活スタイルに合った間取りや、部屋の大きさなどが選択できるようになり、そして完成したのが楽只21棟であり、来年完成予定の楽只22棟です。

また、「じうん」では、地区の住民にとって持ち家に住んでみたいという要望があったことから、1996年「じうん」から京都市へ「じうん持ち家プロジェクト」として要望した。

ただし、千本はあまり敷地が広くなく、それを叶えるものとして、集合住宅としてのコーポラティブ住宅を考えた。

○ 千本コーポラティブ住宅について

千本の99%の敷地が市の所有であり、元々京都市が国の補助金を入れて用地を取得した経過もあるので、分譲する場合には補助金関係などの手続きが複雑だということもあり、京都市が土地を50年以上の期間を定めて貸し出す定期借地権を用いた。

定期借地権とは、土地を一定期間借地(50年程度)し、建物だけを所有することで保証金、地代だけで持ち家を獲得することができ、住宅の費用を低く抑えることができます。具体的に土地分譲住宅の6〜7割ぐらいだと言われています。しかし、土地の借地期間終了時に更地にして京都市に返還しなければなりません。また、コーポラティブ方式を採用したのは、家を建てたい人が集まり協同して造ることにより、自分達の好みに合った質の高い住宅ができ、その過程で良好なコミュニティを形成することができることがあります。

計画によっては、一人で出来ない豊かな共有スペースを生み出すことができ、まちづくり発信型の多様な住宅供給です。また、コーポの場合、情報を開示しながら取り組みを進めるので、知らない間に広告費やモデルルーム建設などの高い費用を払うこともなく、自分たちで出資金を募り、口コミや学習会を開いて入居者の募集を行うなど、少ないコストでプロジェクトを進めていくことができます。

場所は、千本北大路から少し上がった所にあり、主要のバスターミナルも通っていて、周りには公園があり、左大文字が見え、金閣寺などの名所も近くにある大変環境の良い場所だと思います。

○ 取組の状況

20046月に第1回準備会を行い7回準備会や学習会を重ねるなかで、メンバーの入れ替わりもありました。取組みでは、新大阪にあるコーポラティブ住宅である「現代長屋TEN」の見学を行い、組合結成までに約15名程度のメンバーの入れ替わりがあったことなど、お住まいの方から建設に取り組まれた際の、苦労話を聞くことができました。

私たちのコーポも20059月にようやく建設組合を結成しました。現在6軒で自分たちの選んだ設計士さんと各自のライフスタイルに合わせて設計を進めています。建設組合を結成してからも、奈良の青山コーポに見学に行くなど、共用部分の使い方や間取りなどコーポならではの醍醐味を体験しながら、組合員の皆で共用部分や全体設計についての検討など、だいたい月に一度のペースでワークショップを行い、ワークショップで決定したことや各家の設計状況や自分の家の「うり」などを建設組合ニュースとして発行し、コミュニティを深めて行っています。

なお、6軒のメンバーは楽只地区だけではなく、一般募集を行ったことにより、地区外からも参加をしており、開かれた交流を実現しています。

今後の予定では、4月には建設に向けて京都市と土地の契約をし、今年の末か来年の初めには、自分たちのライフスタイルに合った個性的な家が完成する予定です。

最後になりますが「じうん」では、市営住宅の建替えやコーポラティブ住宅といったハード面の取組みとともに、人と人との豊かな関係性を営むソフト面にも着目しながら、まちづくり運動を展開することを心がけて活動していきたい。これで千本の取り組みの報告とします。

○ コーポラティブ方式のメリット(参考)

(1) モデルルームの建設、チラシ等の宣伝広告費が不要であり、建築価格を原価に近づけることができる。(納得できる価格)

 (2) 自分のライフスタイルや感性に合わせて設計を進めることができる。(希望の生かせる設計、多様な住宅供給)

(3)   そこに住む人たちが共同で事業を進めるので、入居後のコミュニティ形成がスムーズになり、管理もしやすくなる。(良好なコミュニティの形成)

(4)  一人ではできない共同施設や活動の輪を皆でつくりあげ、豊かな環境を生み出すことができる。(豊かな環境)

司会:山田康夫さん

  ありがとうございました。引き続き「改良住宅等の空き家活用について」京都市都市計画局住宅室住宅管理課杉本担当課長より報告をしていただきます。

 

2「改良住宅等の空き家活用について」              杉本 利夫

 

○ はじめに

先ず空き家活用と言いますと、部屋を改造したり改修して、2戸一にしたり、住宅以外の用途(娯楽室等)にすることも空き家活用ですが、今日お話しする内容は、空き家への入居者募集を行うことです。

入居者を募集するということは、まさに「人」を呼び込むための手段です。これまで京都市が検討を重ねてきた改良住宅の空き家活用の位置付けと、既に実施した入居者募集の事例報告を致します。

10年ほど遡りますが、同和問題をめぐる国の動向については、ご承知のとおり地対財特法が平成8年度末をもって法期限となることから、87月に「同和問題の早期解決に向けた今後の方策について」の閣議決定がされ、地方公共団体に対しても、この趣旨を踏まえ、今後の取組みの検討をするよう要請しています。

平成811月に「今後における京都市同和行政のあり方について」の意見具申がされ、この中で「改良住宅は、かつての劣悪な状態にあった同和地区の住宅を除去し、住民に健康で文化的な生活が営める住環境を保障することを目的に建設されたことから、同和地区住民を入居の対象としている。今日、これらの住宅が建て替えの時期を順次迎えるが、建替え事業が一般施策として取り組まれることから、建替え後の住宅の位置付けについて、地区外からの入居の問題も含め、長期的な視点で考え方を整理すべきである。なお、現在空き家となっている住宅については、早期にその有効な活用を図る必要がある」と示されています。

平成123月に「パートナーシップによる住環境整備指針(案)」が策定され、転換期にある同和事業の中で、改良住宅等を中心とする「住まい」のあり方や、同和地区の活性化を目指した「まちづくり」のあり方を明らかにし、今後の住環境整備を進めていくための指針が示されました。この指針の中で、中間所得層の流出を防ぐことや、地区外からの入居を図る手段として、定期借地権付分譲住宅の導入や多様な住宅供給を目指すことが明記されています。

この指針の最後に「住み続けられるまち」を実現するため、一般施策への移行に向けての6つの課題が明記され、その一つの課題が「周辺地域との交流と共生の促進」です。

紹介しますと「これまで本市が同和対策事業として採ってきた「属地属人主義」は、施策の緊急的・重点的実施といった意味で、地区内外の格差是正に大きく貢献してきたといえる。しかし、今後はまちの活性化の視点から、地区内の住民だけでなく地区外からの人の流入も視野に入れて、周辺地域との交流と共生を促進する必要があると考える。そのため、改良住宅等の空き家についても、地区住民の住み替えに活用することと併せて、現在実施されている同和地区内での公募による入居も、今後は全市を対象とした一般公募にまで拡大させる必要がある。」とされ、空き家活用の一つとして、一般公募がありますが、一般公募は周辺地域との交流と共生を促進する手段の一つであると位置付けています。

繰り返しになりますが「改良住宅」は、改良事業に協力し、立ち退きをした居住者に対し、居住を確保するために建設された賃貸住宅ですので、入居者は原則として、事業の施行前からその地域に居住しておられた方であります。ただし、入居が完了した以降の管理面については、住宅地区改良法の規定により、家賃を除いて公営住宅と同じ扱いとなります。

 従いまして、空き家への入居については、公営住宅法により行うことに、「改良住宅の一般公募導入の方針」については、地区内の活力維持などの観点から、検討されました。

○ 一般公募導入の検討

 端的に言いますと、一般施策を通じて「まちづくり」の条件作りをすることであります。改良住宅の空き家活用の一つとして、住宅地区改良法に則って、市民を対象とする一般公募を導入することが地区への人口の流入を促すこととなり、地区が将来にわたっても、地域社会として機能し続けることに結びつくものである。と位置付けています。

○ 一般公募の実施方針

 一般公募に活用する空き家は、クリアランス等による入居用の住戸、建替えのための仮住戸、福祉施策の住み替え用住戸など、活用すべき住宅を確保した上で、決定することとしています。

 申込資格は基本的に、公営住宅と同じ申込資格です。公営住宅は「住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、国民生活の安定を図る」ための住宅で、単身者を対象に募集する場合を除き、同居する親族があること、住宅に困窮していること、世帯の所得が基準以下であることなど、全ての要件を充たす必要があります。

 改良住宅の所得基準は、一般世帯の場合は137千円/月(年収約420万円・4人世帯)、同和向け公営住宅は20万円となっており、この所得基準は改良住宅の建設目的や性格を踏まえ、可能な限り幅広い所得層の世帯の入居が望ましいことから、公営住宅の所得基準月額20万円(年収約510万円・4人世帯)を準用することとしています。

募集については京都市住宅サービス公社で、定期的に公募により行います。従って、選考方法についても申込資格者が募集戸数を超えた場合、公開抽選により決定することとなります。

○ 京都市における改良住宅等の一般公募実施状況

 鷹峯及び楽只市営住宅において平成15年度に、海外留学生の入居を国際交流の観点から、かつ又受け入れ側にとっては地域の活性化に繋がることを期待して、試行的に実施しました。

楽只地区では「2010年に向けた新たなまちづくり」が、地元運営委員会(じうん)を中心に行われており、理解と協力を得ながら実施することができました。

醍醐にあります辰巳市営住宅におきましては、平成156月に京都市で初めてとなる改良住宅の一般公募を実施しました。さらに翌年の166月にも一般公募を実施しました。

平成1612月に、左京区の養正市営住宅で、一般公募を実施しました。この時期建替え事業が進められていたため、空き家を慎重に選び、募集対象住宅については、単身者向住宅の空き家を活用しました。京都市の公営住宅の一般公募では、単身者向住宅への応募者が非常に多くなっています。

 続いて平成176月に楽只市営住宅で一般公募を実施しました。留学生入居が定着し、また建替え事業が進む中、一般公募用空き家が確保されたので、実施することができました。

○ 泓ノ壺市営住宅(若年世帯向)入居者募集の試行について

 平成1712月には、伏見区の改進地区の泓ノ壺市営住宅において、年齢制限付の入居者募集を実施し、現在審査中です。

泓ノ壺市営住宅は他の地区と同じく、入居者の高齢化が進行していますが、空き家の比率が他の改良住宅と比べても、突出していました。建築年度から見て、今後、建替えなどの事業も視野に入るため、空き家を活用してこなかったが、コミュニティの活性化を図るうえでも、何らかの改善が必要と考えてきました。

今回年齢制限を設定して、公募を行いましたが、通常の一般公募のうち、一部特別の事由を有する者に限定し優先的な取扱いが講じられた、優先入居と呼ぶ国の通知に基づいた実施がされます。この募集につきましては、現在公営住宅全体の空き家の中で、一定の枠を設けて「特定目的住宅」として募集しております。

今回入居者募集を行うに当たり、泓ノ壺の事情を考慮し、団地のコミュニティ振興の試みとして、比較的若い世代の入居を図り、地域への支援策とするため、泓ノ壺市営住宅に限定した公募として試行的に年齢制限を付加した応募を行いました。

年齢制限は、入居する世帯の全てが40歳未満と、若年向世帯の募集という形で行いました。

○ 今後の動向など

 一般応募の状況ですが、最近の応募時期別倍率によると、平均15倍前後の高倍率で推移しており、単身者向住宅の募集は、提供できる住宅が少ないため毎回、20倍以上の高倍率となっています。また、高齢者に対しては、民間住宅の受け入れも悪く、今後とも高倍率が続くものと思われ、公営住宅への強い入居要望が続くものと思われる。

 日本の住宅制度全般にわたり行われてきた「公営住宅の入居制度」に関し、真に「住宅に困窮する低額所得者」に対し、地域の実情を反映しつつ、より公平、より的確に公営住宅を提供できるようにするための方向で、見直しが行われている。つまり、住宅セーフティネット機能の向上を図る方向で、見直しが行われている。

 これは、少子高齢化が進展している、家族形態も変化している、社会的弱者も多様化して、国民所得水準も変動しているなどの情勢を踏まえて検討が重ねられてきた。

○ 結び

 公募の効果は、もう少し期間をかける必要があると思います。入居説明会で当選者の喜ばれる顔を見たときが、担当者として嬉しい瞬間であり、また養正の当選者で、元居住に戻れたことを大変喜んでおられた。一般公募の導入は、少なくとも戻れる可能性のメリットがあると考えます。繰り返し、お話しています一般公募は、人を呼び込む一つの手段であり、戸数はごくわずかですが、その手段かと思います。これが、そういう人を呼び込んだことが今後の「まちづくり」に、うまく繋がれば嬉しいことと考えております。

 以上で、事例報告を終らせていただきます。どうもありがとうございました。

 

司会:山田康夫さん

 ありがとうございました。コーディネーターとして、おいでいただいている寺川さんは、「じうん」のコーポラティブ住宅の取組みについて関わっておられます。そういう意味で、若干補足の説明を加えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

3「事例報告を受けてのまちづくりの総括」             寺川 政司

 

○ 定期借地権付千本のコーポラティブのコーディネーターとして関わらさせていただいている。もう少し事業的な話とか今の組合の中で、どういうことが課題になっているのかを含めて、井ノ口さんともお話を聴きながら進めたい。

 千本のコーポラティブは大体660uぐらい、25m×25mぐらいの大きさで、もともと昔の家が建っていたところで、空き地として事業用の用地として確保されてきた。ここの手法は、改良住宅の建替え事業における定期借地権付分譲住宅である。公有地の定期借地なので大体50年ぐらいが一般的である。大阪市の事例の場合、借地料一括払いであり、買う方は借地料を毎月払わなくてもいいが、50年間一括で払わなくてはいけない。ローンは、その中に組み込まれるという事業。京都の千本の事業は、借地保証金をまず一部出してそれに毎月地代という形で払っていく方法。メリット、デメリットはどちらにもある。大阪の場合、50年間で1000万円ぐらい払うことになり、それがローンに組み込まれるので、あまり旨味が無い。そういう意味では、今の京都でやっているのは、地代を安く設定できれば毎月地代を払うことで、ローンを組まなくてよい。

ただローンを組んだ場合35年で終るが、これが50年間続くところが悩ましい。こういうプロジェクトというのは、土地まで買って上物を立てた場合とよく比較されるが、一般的に設定する基準というのは、約60%〜70%ぐらいでないと旨味がないというか、事業として成立しにくい。もう一つ定期借地で悩ましいのは、融資がなかなか無い。物件自体がまだ市場に出回ってない。担保を持つ土地が無い。建物しか担保がつかない。京都や大阪の場合は、公共がやっているプロジェクトの一つであるという意味で金融機関は貸してくれる、ハードルが少し低くなっている実情はある。

 コーポラティブが難しいところは、人が集まらないとよく言われる。ゼロから皆で創り上げる仕組みなので、どんなものができるか分からないまま参加するのは、難しいかもしれない。

 皆で議論しながら、実際の事例を見てイメージを膨らませることになる。定期借地だから50年経てば返していくとか、毎回皆で確認していかねばならない。井ノ口さん、大変なところも多いと思いますが、一言コメントしてもらえますか。

○ 井ノ口勝彦さん

 地元を離れずに安く家を建てられるのはいいが、1から決めなければならないとか、資金面でもなかなかお金が借りられないこともしんどいところです。

○ コーディネーター寺川政司さん

 コーポラに集まってくる人も本当に借りられるのか、いくら借りられるのか不安です。仮申請して、皆で大丈夫と確認してそれからプロジェクトを進める。やはりモチベーションが変わっていく。本当にやれるか分からないのに、参加し続けるのは非常に大変なんで、早目に分かるようにできないかと思っている。

多様な住宅供給を進めていく上で、どういう人達をターゲットにどういうプロジェクトを創りあげていくことは、リアルな数字の話も一緒に考えねばいけないことにも触れておきたい。

 

司会:山田康夫さん

 ありがとうございました。2本の報告を受けたわけですが、昨年来からお話しているとおり、今の地域の姿を見て、どういった形でまちを再生するのか。何が必要なのかというところで見れば、まず人というのが昨年キーワードとして出てきた。まちづくりを担う人をどういう形で作っていくのか、そこにはあらゆる仕組みや仕掛け作りが必要になってくる。

 1952年の錦林地区に改良住宅が建てられて以降、各地区に改良住宅が普及していく、大きくは1979年同和地区対策事業総合計画マスタープランの中で、整備が進んでいく。当初30数uが50数uなったぐらいで同じような建物が建っている。各地域の事情、特色、個性というものが当然あるわけです。

 今日報告してもらった取組みにしても、必ずしも千本でやったことが改進地区で成功するのか。改進でやられた空き家を使ったまちづくりの再生が千本地域で成功するのかと言えば、これは丸とは言えないと思う。そういう違いのある個性を生かした取組が大事だという話を後半に続けていきたい。

 

             −休憩―

司会:山田康夫さん

 それでは後半を続けていきたい。改めてコーディネートをしていただきます寺川さんを紹介します。後半は前段の事例報告を受けての総括をお願いします。

 

○ 寺川 政司さん(CASEまちづくり研究所 代表(工学博士)

 前半の話も受けながら、多様な事業を進めていけるのかということを議論できればと考えている。この間このようなテーマで議論されてきて、京都でどのようなプロジェクト、実態としてどこまで進んでいるかということで、二つの事例を挙げていただいた。千本コーポラティブ住宅の事例、多様な住宅供給の一環として定借コーポラティブに進んできたという報告がされた。もう一つは、改良住宅の案件の活用ということで、空き家活用の手法の一つとして進んでいるとの報告があった。資料として提出している、A3の資料を基にお話をしたい。

 杉本さんの話の最後あたりで、国の動向という話があった。公営住宅法の改正により、基本的には単身入居が可能な方の範囲が広がったという大きな特徴がある。入居可能な収入の上限、収入基準の緩和が認められる方が拡大した。公営住宅の収入基準20万円/月が、子育て世帯については26.8万円/月まで地方の裁量によって可能であるとの変化があった。単身入居の方で特に高齢者50歳以上が今後60歳以上に引き上げられる。

 家賃の収入超過者に対する扱いが厳しくなった。公営住宅に入る方々のなかでも世帯のミスマッチというか収入が高いんだけど、公営住宅に入っている。そういう問題を是正する国の方針が出てしまった。特に地区の住まいの状況は公営改良住宅が多いという状況・状態があり、非常に大きな影響を及ぼす。流れとしては公営住宅が住宅困窮層の方々によりシフトしていく。

そういう流れの中で、地区のコミュニティ、世帯の構成とか地域の活力がどうなっていくのかということも、非常に大きな不安・心配事と言われる。一方で若年層の方が出て行くというこれまでの流れが、これからより拍車がかかる。大阪のある町では、この改正に伴っていきなり家賃が5倍になる人が出てきた。

 

[課題]

 住まいを巡る課題はいくつかある中で、若年中堅層の流出と生活困窮世帯、高齢者の集中、住宅が画一的であるという問題がある。その中で世帯が限定化されたり、地域活力が減退、住環境が最悪化するんではないかと様々なまちづくりを進めてこられた。特に定住性について大きなテーマにされている。  

[方針]

 定住魅力ある住まいとまちづくりということで、魅力ある住まい、環境づくり、色んな世帯がそこに住む、共生することもあったと思う。お年寄りも多い、破綻の無い安心居住、コミュニティケアをどう実現していくか、地域の住宅、施設のストックをどう活用していくのか。

環境整備、ライフステージを包括する地域循環居住、簡単に言うとライフステージ若い世帯が2人でその町に入ったとして、子どもができて、大きくなって子どもが結婚して出て行き、2人に戻る。色んなライフステージ、ライフスタイルがある。

定住というのをテーマにしているのであれば、住まいを同じ場所に居続けるのかということも検討する必要がある。同じ場所に住み続けるということも当然重要なことである。高齢になりケアが必要になる。家ではなかなかケアできない。新たなお年寄り向けの住宅が供給される必要があるかもしれない。在宅の中で住みやすいような改修を進めていく方法もあるかもしれない。色んな世帯、色んな状態に応じて町の中に住む場所をどれだけ作り上げていけるのかということも重要なテーマとしてあるのかなと思う。

[対象] 

多様な住宅供給とは、今の公営住宅自体のストックをどう活かすかも一つの多様な住宅供給のあり方ですし、中堅所得の方とか収入超過の方だけを対象とするのが多様な住宅供給ではないと思う。高齢者も障害者もその対象の中に入るだろう。対象となるのは、その町がその人達が考えている多様な住宅供給は誰のためのどの様な住宅供給なのか、住まいなのかを改めて見ていく必要がある。そういう意味では高齢者・障害者向けの住まいのあり方は今の公営改良住宅そのままでいいのかという問題が当然出てくる。バリアーフリー化だけでいいのか。大きさも今のままでいいんだろうか。障害を持った状態の人をどうするのか。

今高層階に住んでいるが、住み替えはできないのか。子育て世帯、若者世帯をどうするのか。メインになっている中堅所得や収入超過の方をどうするか。特にこれから影響を受けるだろうという世帯。それから転出世帯、一回出てしまったけれども、もう一度町に戻りたい者もいるかも分からない。あるところで、コーポラティブと別で計画しているが、その組合が目指す一つのテーマは一回出た人達をもう一度戻したいという大きなテーマが位置づけられている。

[多様な供給手法の検討]

千本の場合は99%公共の土地であるため、その中で住む家を供給しようとすると、公共の土地に建てることが前提となる。ヒモ付き用地とよく言われる事業用地としてあったはずの土地なんだが、なかなか使い勝手が悪い。これを使おうと思うと、補助金返還という問題があるので、使えないという問題がよく出てくる。

 これは行政との協同になると思うが、町としてどの様な町を目指していくのか。ここにある土地を使いたいといっても、行政としても何でそれを使うのかという説得力がないと調整できない。地域としてこういう町を目指していく、この土地はこう使いたい。それを行政と一緒に考えていく。それがテーブルに乗った上で、調整していかないと理屈というか説明がつきにくいことが多くある。

次に土地活用、しくみですが、住宅供給のしくみについても公営住宅とか改良住宅でできることは一杯ある。報告頂いた、空き家をどう活用するのかという意味でも一つの方法だと思う。そういう意味では、先駆的なプロジェクトがスタートしたのかなと考える。

それだけではなく、今の住宅を2戸一にしたり、3戸一にしたり、お年寄り向けの住宅を1階に造ったり、増築をしたり、いろんなストックを活用した改修のあり方もひとつの方法としてある。

ただ難しい話もある。事業として進めるには対費用効果がある。改修した費用と建替えした費用、どちらの方の対費用効果がいいのかという話も一方である。どんな改修を誰のためにするのか。対費用効果はどうなのか。公共的な視点からだけではなく、町としても地域をマネージメントしていく、皆さん地域の方々にも把握していただくために色んな提案していくことも今後重要なことだと感じている。

払い下げとか目的外使用とかいう方法もある。目的外使用はリアリティがあると思う。例えば高齢者の多い団地、その棟の中の空き家を見守りする人のための共用スペースにするとか、派遣事務所にする。その棟の中で、その人が棟を見守っていくというような目的外使用のあり方もあるかもしれない。コレクティブハウス、コレクティブ的な利用の仕方もあるかもしれない。

住宅として高齢者が多くなったり、障害者の方とか子育て層がこれからより増えていくという可能性があるという中で、今の公営改良住宅をどう変えていくのかと考えてみる。他にも色んなやり方はあると思うが、特に見守りの仕組みとか、ケア、地域としてどうやってお年寄りを守っていくのか。また自分たちの安心をどう確保していくのかというのは、ハードの住まいの計画や事業だけでなくて、仕組みを作っていくというのも、まちづくりの中で重要なテーマにもなっている。

先ほど、井ノ口さんから報告のあった中堅所得の方に対する住宅供給、多様な住宅供給はまさにメインのところかもしれないが、コーポラティブの方法を使って、この場合は定期借地方法を使う。

大阪の事例は公有地の定期借地コーポラ事業ですが、こういう事業に組み込んでないので始めから一般公募。千本のメリットは、いわゆる改良住宅の建替え事業ですから、そこに住んでいる人がまずはターゲット。そこに住んでいる人が入るのがポイントになる。他の人が初めから入って、自分らが入れなくなるということはない方法です。

資料の右側は、課題及び検討内容に関するキーワードです。そういうことを具体的に進めていこうと思うと、リーダーだけで全て進めていけるわけがない。そこにはどういうニーズがあるのかをしっかり把握していく必要があるだろうと考えている。こんなはずではなかったということが一杯出てくると思う。ニーズというのは、微妙なものもありますから、そういうものを拾い上げていくという作業も多様な住宅供給において重要なことだと思う。

例えば千本の場合は、定借でも持ち家で、土地も高くて、地代も高くて共同住宅ぽくなっても、自分達のスタイルに合っていると進められている。改進の方々に話を伺うと持ち家でないとあかん。土地も持って、しっかり確保するやはりそういうニーズに合わない話をお聞きしました。そういうニーズを把握した上で、マーケティングをしていく必要がある。

最後に、例えば流入出の問題、地区はどうなっているのかというのを、先ほど来、何度か話があった。グラフを見ていただきながら、最後の話をしたい。これは横軸に年齢、縦軸に年収、世帯の収入で大阪の調査のデータですが、京都もこれに近いと伺っている。

これを見ると、65歳以上の方で収入の低い方が多い。若い世帯で収入の低い方というのは、割と点在して点、点、点と。55から64歳というところで収入が300万円から400万円以下のところが多い。これが大体半分を占めている。三つ目の塊りが45から54歳で収入が500万円以上。

大きくいうと、この三つの塊りが世帯の状況で今はこの実態調査から5年経って4554歳で500万円以上が減ってきている。多分京都も同じ状態が起こっているんではないかと思う。

地域もドーナツ化現象が起こっている。地区にはお年寄りばかり、単身、二人世帯が多い。子どもらも外へ出て行ってしまった。でも周りに住んでいる。ちょっと広がりを持ったまちづくりをすると、その人たちもその中に組み込まれていくので、そういう広がりを持ったまちづくりで全体として考えていく方向も今後、見られていくんではないかと思っている。

以上雑駁で恐縮でしたが、このような定住魅力ある住まいとまちづくりを実現するための多様な住宅供給の一つの方向といった私の考えているイメージというのをお伝えした。前半お話されたが、いずれにしても重要なのは、若年で収入・困窮されている方が、地域に住み続けられることが出来ることの提案と、これから出てしまおうとしている人たちをつなぎとめる持ち家のプロジェクトが、京都の端と端でプロジェクトが行われている。あとはそれを上手く広げていきながら、町のなかでつながっていく動きになれば、京都の今後の姿としてもいい流れが出来るのでないかと考えている。最後に、ただ高齢者向けの多様な住宅供給がなかなか実現、実施されていないのではないかというのが、感想としてあります。以上報告させていただきました。

 

Wパネルディスカッション

 

司会 山田康夫さん

 ありがとうございました。前半の2本の話を受けて、寺川さんからまちづくり、一つの総括ということで、お手元の資料に基づいて考え方も含めて紹介していただいた。ある程度収入を持った部分を繋ぎ止める部分と公営住宅ボーダーラインと言われている一番厚みを増している層に焦点を当てた2つの報告がされたということで総括していただいた。

 これからフロアーの方々とパネラーとまた、寺川さんにコーディネートしていただきながら、ディスカッションをしていきたい。アットホーム的なやり取りができればと思っているので、忌憚の無いご意見、ご発言をよろしくお願いします。

 

○ フロアー(菱田さん)

崇仁のまちづくりから言うと、両方とも今日の話では該当しない。定借コーポラの建設に夢を持っていた。新しく建設されている市営住宅の家賃が高い。家賃の値上げをいつにするかを京都市に握られずに済む。定借の住宅を建てたら市営住宅の家賃より安く出来るという夢を持っていた。

建替えの場合は可能だが、これから改良の事業用地に定借はつれないと、国土交通省へ陳情に行ったときに言われた。井ノ口さんの話を聴いていて、ちょっと心配がある。定借のコーポラへ入った後、世帯分離が起こった、子どもが結婚して別居するとき、もう一度改良へ戻れるのか。多分、建替えのコーポラへ入られて、今住んでいる住宅の明け渡しが条件になっていると思うが、明け渡した後、世帯分離したくても帰れないなら、マイナスになる。そこの部分は、どうして行くのかという疑問が残る。そのとき例えば、杉本課長から話があった空き家を残しておけないのか。

崇仁は、まだ改良事業が終わっていないのでできない。公営住宅法の改正が言われて、所得基準が20万円/月の人を外から引っ張ってくる。平均で20万円といえば、もう生活保護世帯になりそうなボーダーの方です。そういう世帯ばかり入れて、一番心配なスラム化が怖くないんですか。高収入に厳しくなると寺川先生から聴きましたが、もしそうなったら公営住宅の家賃体系が我々の改良住宅に当てはめられたらえらいことになる。自分の家を安く売って入居した改良住宅なのに、家賃が高いといって出ていかんなん状態は、冗談ごとで済まない大変なことになると心配です。

 コーポラ住宅の土地代18000円/月/件は、高いと思う。何で京都市に高い土地代を払うのか、理解できない。京都市は買い上げるとき、周辺の路線化より安く土地を買っている。安く買った土地に周辺路線価で土地価格を設定するのは、おかしいのではないか。

 

司会:山田康夫さん

他にいかがでしょうか。

 

○ フロアー(柳生さん)

京都市の改良住宅等の空き家活用について、考え方を聴きたい。京都市はこれから、部落をどのような町にしていこうとしているのか。どういうビジョンをお持ちなのか。聞かしてほしい。改良住宅は部落の劣悪な住環境の改善のため、一番使える法律は何かということで、改良事業でやってきた。住替え対策だった。部落の中に造る住宅というのは、改良事業を使うけれども部落問題解決のために、部落の人に優先的に入ってもらう話だった。当然住宅戸数が余ってきたら、それは一般公募にも馴染んでいく要素はその当時あったと思う。だからなぜ、属地属人主義だけを前面に出して説明されるのか私には、わからない。

現在では部落の7割〜8割が公営住宅。国の方針で行くと低所得者に供給する住宅に位置付けるということになる、貧困者と高齢者とそういう人たちが住む住宅が部落の中に絶えず、7割から8割を占める状況を造っていくことになる。

泓ノ壺住宅の空き家の一般公募についてある種、理解できる部分と反発する部分がある。それは、泓ノ壺の一般公募がどういう理念のもとでやられているか。色んな制度のしがらみはあるけれども、国の参事官が言っていたが、制度そのものは歪められないが、応用を効かすことはできると。私らがイメージしていたまちづくりというのは、やはり永住できる二世代、三世代が住み続けられるまちづくりというとこらへんで要求や活動をしてきた。京都市がどう考えているのか聴きたい。

 

司会:山田康夫さん

今2つのご質問なり、ご意見が出たわけですが、それに関わって菱田さん、柳生さんの意見に対して発言者の方、コーディネーターの寺川さんの方からありましたら。

 

○ コーディネーター寺川政司さん

非常にいいテーマというか、提案だと感じた。各地も同じ問題を抱えていて、定借コーポをやるときいつも多様な住宅供給の話で出てくるのは、応能応益家賃の導入と多様な住宅供給はセットだった。でも、なかなか多様な住宅供給が進まない一方で、家賃の話だけが進んでいって、結果的に収入超過者が出て行き、またその家賃で入ってくる人がいて、地域としてはスラム化するというか低所得層の困窮している人が集まってしまう。対象となる収入超過とか中堅所得の方が出て行ってしまう流れが何年も続いている。初めに応能応益を入れた地点の問題にまで遡ってしまうような話をされるのが多いというのは、不安を抱えているからだと思う。

 コーポラティブの世帯分離の話があったが、私も行政の方に聴きたいが、公共の事業として持ち家制度を使ってやってきたので、そこに入っている方は、もし世帯分離とか、そこから出るというときに、もう一度公営住宅に優先的に入居できるのかは、まだ議論されてないところかもしれない。ただ法的には、厳しいかもしれないが、事業の一環としての位置付けがあれば、検討の余地はあるかなと思いますが、判断としては行政の判断になると思う。

地代の話ですが、例えば18万円の路線価として今回のプロジェクトで言うと、450万円ぐらい借りた時のローンと同じぐらい。土地自体は1350万円で4割ぐらいの設定になっている。借ってというのも一つの方法で、本当は買えた方が安定するので、その理屈をどう示すか、土地は元々先程言われたように、京都市は安く買っているはずだから、安く売ってあげればいいんだという話が通るのであれば、それで安いものとして手に入る。ただ一般的に進めている論議というと一般の市場並みに比べると安くなっているのは、確かだと思う。

18000円/月、周りの駐車場が21000円/月ぐらいだから、110uの土地を借りる一般的な感覚から言うと、そんなに高くは感じません。ただ言われた歴史的経過とか事業の特性から言って、元々この土地はこうだという理屈が若し通って京都市と調整がつけば方向性としてはあるかなと。歴史的な経緯と土地をいくらで買ったかという話でいくと、今の議論はあるのかもしれない。

司会:山田康夫さん

柳生さんから発言があったが、寺川さんのまちづくりの総括の中にあったように、多様な住宅供給は、一体誰のためにやるものなのか。町は何を目指していくのだろう。何をどうするんだろうというグランドビジョンがなければ、単に客観的なものとしてやるだけでなく、そういう部分が必要ではないか。そういった部分で杉本課長の方から、一言話が出来ればお願いしたい。

 

○ 杉本利夫さん

柳生さんからご指摘のあったまちづくりということで、当然そういった全体的な方針はあるべきだと思うが、これは住宅の政策的な部分ですので、そこの部分のコメントをする立場に無い。何回か引用させていただいた属地属人主義とか、これは色んな過去の同和施策が推移する中で、京都市が色んな冊子等を出している。空き家活用について方針化されたことを、こういう風に進めておりますと、まちづくりからいけば、些細な部分かもしれない。その部分で話をさしてもらった。

菱田さんからコーポラティブの部分で、住み替えという指摘があったが、今の法律でいけば公営住宅法による、例えば優先的に入る場合、建替えがあるとか、建替えのために民借に住んでおられて、その方が新しい棟に入るとか、公共事業による立ち退きのために入っていただく。特定入居と呼んでいる、そういう規定の中で、入っていただく。当然今、コーポラティブの部分は、多分無いと思うので、今の規定では優先的に改良住宅に入っていただけるという規定はありません。

 

司会:山田康夫さん

 ありがとうございました。パネラーの方からフロアーの方に逆に投げ掛をしていただき、キャッチボールができたらと思う。菱田さんからお話のあった定借について、当然メリット、デメリット含めてあると思うが、実際に取り組みされていて井ノ口さんの方で何か感じられることがあれば。

 

○ 井ノ口勝彦さん

 50年後のことは考えていない。取り敢えず安く住める、地元から離れなくてもいい。50年間有意義な生活、自分のこだわる部屋にしていこうと思って、この取組みに参加した。

○ コーディネーター寺川政司さん

 定借の一番のネックは、50年後どうなるのかという話に常になる。50年経ったら更地にして返す、せっかく造ったものが無くなるということが大きい。土地として自分のものにならないというのもある。土地の価格が一定、高くないとそれについてメリットを感じないことが多い。

少し気になったのは、新たな京都市の若手の人を呼び込む方法が言われている。どんな人が入ってくるのかがポイント。多様な住宅供給で色んな世帯の人が共生するには、例えば収入超過の方とか、高所得・中堅所得の方だとかが入れる政策がもっとないと難しい。

○ フロアー(菱田さん)

 京都市は国の言うことを聞いて、住宅施策をある程度決めて行っている。ここ何年間の間に住民の姿を見てとは感じたこと無かった。改良の方式で建ったところが、これも公営住宅の一つだと、公営住宅の家賃体系を持ち込むという無謀なことをやってしまった。これから公営住宅法が変わっていく。全市的にコーポラティブを目指さんなんと違うか。市営住宅に入っていて何ぼになったら、出ていかんならん。そういう心配が無くなる。そのためには井ノ口さんらが土地代頑張って下さい。一つの前例になる。

 ブブカ問題、改進も崇仁も東三条も書かれた。言うに事欠いて我々の改良住宅のことを同和利権住宅と書いてある。我々は地元として抗議行動をしている。

 

司会:山田康夫さん

  まだ他にも色んな方に。

 

○ フロアー(平井さん)

 千本コーポラティブの組合員です。コーポラティブ住宅の取組みでよかったなと思う。様々な方の夢が語られてきて、夢を実現しようとしている。町内の人に聴けば、改進でもそうかもしれないが、持ち家住宅でない、或いは土地代について借りるという定借についての理解はまだまだ根付いていない。「所詮借りるんやんけ、返えさなあかんやんけ」というのは根強い。ただ、若い世帯の人は、借りる方が得だとの議論をしながら選んできた。

 土地代についても、安いに越したことはないし、そこは追求していきたい。部落だから、同和地区やから、安く買ったんだから、ただで貸せよと求めていくのか。それよりも理解される、ここの地域はこういう歴史があって土地が安いんだという展開をしていきたい。京都市が作った事例を、さらにまちづくりとして活性化していく。できたら、そういう人達が入ってこれるまちづくりのコーポラティブにしていきたい。

 改良住宅に満足せんと周辺や少し離れた持ち家住宅に住まれた方の多くは殆んど帰ろうという流れはありません。千本に部落に住みたい、住み続けたいという思いで実質空き家で名義だけ置いておられる方がまだまだおられます。こういう人達は戻ってくるのかというと戻ってきもしない。スラム化を生むような形よりも有効活用していきたいと一般公募も始まり、違う人も入っている。家賃が安いだけで来るんでは、我々が戻ってきて欲しい、入ってきて欲しい活力を持った方が入ってくるというよりも、社会的にしんどい人達だけしか戻ってこないという逆のパターン。我々が望んでいない形が進んでいく。コーポラティブ住宅のようなものをもっと展開して、できれば改良住宅を買い取ることも目指すべきかなと議論している。

 フロアーの方から頂いた土地代の設定についても、安価で抑えていくことも大事だと思うし、周辺の路線価でいくことの問題はあると思う。どういう形で進めていくかは難しいが、色んなことを展開していくことが大事なことと考えるので、ご意見を頂ければと思う。

 

司会:山田康夫さん

  他にも、どしどし出していただければと思う。

 

○ フロアー

 北木の畑の改良住宅は、取り残されたような感じがする。3階には殆んどおられない。1階にはおられる。年を取って階段が上がれないと。旧土居町の改良住宅は住んでいる人が殆んど近くだが、外へ出られ3階部分は物置にされている。近くに仏教大学の学生が一杯いる。そういう人を今空いている所を活用すればいいと思う。それと清掃、ゴミ出し日、もう少し地域の環境面を考えて網掛けとか袋とか京都市にやって欲しい。

 

司会:山田康夫さん

 もっと出してもらって、パネラーに振っていきたいが、ございませんか。先程の寺川さんの話、周辺に流出してドーナツ化になった部分、枠を広げていけば一つの新しい地域の部落のまちづくりの応用編的な部分かなと感じる。今日の話の中で根本的な部分としては、何を目指して、どういう仕組みで、どういう仕掛けを作っていくんだという話が進んでいるが、時間も近づいてきた。それぞれの立場でフロアーからの意見、今日報告された部分も含めて最後に杉本課長から順番にお願いできませんか。

 

○ 杉本利夫さん

 先程おっしゃった空き家ですが、建替え事業が進んでいて仮住まいの住戸が必要とか、建替えを控えている棟など、入居を止める、入居させないなど振り分けをして、一般公募の部分で、どの住宅を使ったらいいかという中で活用している。今の空き家活用という地区改良法の規定の中で、一般公営住宅法によって、空き家を活用するしばりがある。他都市で今の枠組みの中で色々な政策の試行をされている部分もあろうかと思う。今の業務の中でネットを張りながら、係の中で議論していきたい。入居の枠の中でも、限界があった中でも何か工夫できないかと、いつも念頭に置きながら業務を進めたい。

 

○ 井ノ口勝彦さん

 先ず、今年中にコーポラティブを建てる予定ですが、京都市とも交渉を深めて見本となるような定期借地権付コーポラティブ住宅を完成したい。鷹峯の市営住宅に関しても要望は京都市に出している。これからも要望を出し続けたい。

 

○ フロアー(菱田さん)

 まちづくりを進めるときに、特にコーポラティブ住宅をイメージしたら、ある程度生活が安定している若い人しか入れない。仕事なり、何なり生活が安定している若い人しか手を挙げられない。収入が安定していないと借金もできないなど、ある程度お金を出していても、クビなどにより、それを取られる心配があるから、もう改良でええという消極的な若い人になってしまう。
 我々崇仁が目指している一つのスローガンが「まちづくりが人づくり」10年やってきてやっと芽が吹いた。崇仁の子どもが変わった。何で勉強せんなんか、高校へ行って大学目指すか、中学生あたりに話す力が付いている。特別補修に頑張っている。コーポラティブに入れるぐらいの安定した生活、手を挙げられるような子ども、青年を作るためには、やはり教育というか、子どもをどう育てるかが重要な意味を持ってきている。そっちの方も頑張りましょ。

 

○ コーディネーター寺川政司さん

 私も最後に言おうと思っていた話を現場の方に言っていただいた。まちづくりはある意味テーブルみたいなもので教育の話があったり、福祉の話があったり、今日は住宅がメインで話をしてきたが、色んなものがテーブルの中に組み込まれているべきだろう。住宅・住まいだけの問題ではなく、一つの手法としてあるが、結局誰のために、何のために、誰がどうして行くのかをイメージの中で紡いでいくことが重要なことだと思う。
 公営住宅は明らかに今、地域にとって厳しい状態に変化している。微力ながら私も色んなサポートをさせていただけたらと思いますので、よろしくお願いします。

 

司会:山田康夫さん

 冒頭申し上げたように、2000年の地域の実態調査を基に、今の京都市内の部落の状態を検証した上で、いったい町を再生するためにどうするんだというところから、こだわってきた。
 私が最後に申し上げたいのは、1950年、51年にかけて京都市は、同和地区の実態調査を行っている。それに当たって京都市の基本的な姿勢は、不良住宅地区改良法、法律の中身は治安維持対策法的な要素を持った法律だった。
 京都市は、部落をどうするんだということではなしに、周辺の部分に危害、有害なものが浸透しないために、ワクチン的な要素でこの法律を用いている。そこに住む地域住民が、そういう危険な状態、有害な状態でどういうことに日常的にさらさ れているんだ、というとこらへんの問題視、見る視点を問題として、今までの同和行政を批判しております。
 そのことが一つの活力となって、今、言ってました1927年に不良住宅地区改良法が制定されておりますが、そのことと相まって1960年に、その法律が住宅地区改良法という形に名前が変わって、法律の内容も大きく転換した。そういう活力が今回の2000年の調査の中で、地域の実態が明らかになった。
 それぞれの地域の中で、京都市の行政の中で、少しでも変えていこうというモチベーションが、従前より高くなってきたんではないかと考えている。そういった意味で、これを続けていって、以前実態調査の中で見てきた問題が、具体的に皆の力の中で、活力の中で部落の姿、部落の町を変えていく活力に繋がっていくんではないかと実感している。
 第3分科会の内容でもある「新たなまちづくりの創造」 〜 永住できる環境と地域社会の担い手づくりの実現 〜は、始まったばかりではない、過去からそういうことを歴史の中で繰り返して今日来ている。日進月歩一歩づつ踏み出して行くことが大変重要だと思う。
 進行上、不手際もあったと思うが時間となったので、終えていきたい。長時間ありがとうございました。

  

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