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2021年夏 公開作品 135分 

1985年大阪市立鶴見橋中学校に実在した教師と生徒の物語。心の底から向き合った彼らの青春を描く、実話に基づいた映画です。

制作総指揮・原作・脚本・監督 川本 貴弘
1973
914日 京都市伏見区生まれ

 

 

 

20105月、惜しまれつつ亡くなった中学教師がいた。蒲益男(かば ますお) 享年58歳。彼の葬儀には教え子だけでなく、世代や職業を問わず300人を超える人々が参列し、皆、故人を偲び涙を流した。彼はどこにでもいる普通の教師。これほどまでに惜しまれるとは一体どのような人物だったのか?

蒲先生の教師としての原点である大阪、西成区の中学校で取材を進めたところ、彼と1980年代を共に過ごした同僚教師と、卒業生から話を聞くことができました。そこで目の当たりにした「人との距離感」に驚くと同時に、羨ましさに近いものを覚えました。 三十年以上も前のことをまるで昨日の出来事のように話す教師と生徒のあいだには、「教育者と学び手」、「大人と子ども」を超越した「人として対等」な人間関係が築かれているのがはっきりと分かったのです。

二年半をかけた取材を経て、当時の中学校でどのような学校生活が送られていたのか、何度もぶつかっては理解し合った姿を知るにつれ、現代を生きる人たちへの道しるべになるものが作れると確信しました。映画に関わる人間だからこそ、その発信力を生かすことができる。私はどんな困難があろうとも映画にしなければいけないと決心したのです。

 

 

 

試作版を観た2万人以上が
完成を待ち望んだ作品、
2021

724日(土)公開。

イントロダクション

1985年、バブル景気を迎えようとする日本に、世の中の矛盾が集まったかのような地域があった。大阪西成区。出自、偏見、校内暴力、すさんだ家庭……過酷な環境のなかでよりよい明日を夢見て、悩み、苦しみ、しかしたくましく自分たちの生き方を模索するたくさんの子どもたちがそこにはいた。彼らと向き合い、正面からぶつかった実在の教師、蒲益男(かば・ますお)の生き方を描いた感動の物語。

プロデューサー・監督・脚本の三役を務めるのはロックバンド・騒音寺のPVを手がけるなど映像ディレクターとして活躍後、『秋桜残香』(2005)『傘の下』(2012)を監督した川本貴弘。2010年に58歳で亡くなった蒲先生のことを知るや2014年から2年半にわたり取材。教師と生徒が何度もぶつかっては理解し合った姿を知るにつれ、現代を生きる人たちへの道しるべになるものが作れると確信。2017年にパイロット版をつくり映画製作への理解を訴え続けた結果、2万人を超える人々から完成を望む声が寄せられた。企画から7年、ついに映画は完成、ここに劇場公開が実現した。

教師と生徒である前に人と人として向き合い、互いに尊敬と信頼と理解を持つことの大切さ。ソーシャルディスタンスが叫ばれる未曽有の混乱の今、真の人間同士のつながりとは何か、これからの時代を生きるヒントがこの映画にはある。実在した蒲先生を演じるのは、自身も大阪出身である山中アラタ。ヒロインの新米教員・加藤先生を映画初主演となる折目真穂。もうひとりのヒロイン・由貴にNMB48を卒業後、女優として再始動する近藤里奈が映画初出演。同僚教師役には木村知貴、牛丸亮、高見こころ、石川雄也ら実力派が脇を固める。さらには関西の演劇界から皷美佳、浅雛拓、山本香織らが加わり、映画にリアリティを与えている。

ストーリー

阪神タイガースのリーグ制覇に沸く1985年の夏、被差別部落が隣接する西成区北部の中学校。人々の差別と偏見、貧困など多くの問題を抱えた環境の中で、生徒たちは荒んだ学校生活を送っている。

蒲先生(43歳/山中アラタ)ら教師たちは手を焼いていた。ある日、臨時教員として加藤 愛先生(23歳/折目真穂)が赴任してくるが、初日から生徒に受け入れてもらえず自信を喪失。先輩教師の蒲先生は「今、子どもらは加藤先生を試しとるんや、ただ教師と生徒の関係ではアカンねん」と、得意の野球で生徒と向き合うことを勧める。案の定、反発する野球部員は勝負に勝てばコーチとして認めると豪語するもあっさり敗北。

そのうち加藤先生はチャーコという愛称で呼ばれるようになる。登校拒否になった転校生。家庭を顧みない母親、酒浸りで在日朝鮮人の父と暮らす女生徒。出身地を恋人に告白することができない卒業生。服役中の父親に代わって家庭を支える野球部主将。蒲先生ら教師たちは、それぞれの事情を抱えた生徒たちと正面から向き合い、時には生徒の家庭へ強引に入り込んでまで、彼らの生き方を模索する。