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第57回人権交流京都市研究集会

  3分科会

多文化共生と教育

 

外国籍、外国にルーツを持つ児童生徒への

教育の在り方〜小中高をつなぐ学びの保障」

 

                        会場 視聴覚研修室

               

      

実践報告

「支援の輪をつなぐ!外国につながる児童生徒の成長・進路を支える小中高の連携」

 中山 美紀子さん(京都市立京都御池中学校)

「外国にルーツのある若者の指導と支援について」

大前 久美子さん(京都府立鳥羽高等学校)

 

実践報告を受けて

「外国籍・外国ルーツのある子どもの学びをとめないための連携」

 今井 貴代子さん(大阪大学)    

 

 

パネルディスカッション

 

コーディネーター 志村 光司(京都市小学校同和問題研究会)

 

パネリスト     大前 久美子さん(京都府立鳥羽高等学校) 

          中山 美紀子さん(京都市京都御池中学校)

          今井 貴代子さん(大阪大学)

 

  

分科会責任者   新田  淳(京都市小学校同和問題研究会)

司 会      志村 光司(京都市小学校同和問題研究会)

庶務・記録    前田 恵美(京都市小学校同和問題研究会)

 

 【報告】

 第3分科会では、「外国籍、外国にルーツを持つ児童生徒への教育の在り方〜小中高をつなぐ学びの保障〜」をテーマに実践報告とパネルディスカッションを実施した。

 はじめに、中学校、高等学校で日本語指導を担当されている2名の方から、実践報告をしていただいた。

京都御池中学校の中山美紀子さんからは、「支援の輪をつなぐ!外国につながる児童生徒の成長・進路を支える小中校の連携」と題し、以下の実践報告があった。

 

1.     外国につながる子どもたちへの学びの保障ために必要な視点

子ども一人一人のびを止めないことと、大切にしなかればいけないこととして、以下の3点を述べられた。

@  日本語の学習と教科学習の支援の充実

A  肯定的なアイデンティティの形成と保持のための支援

B  子どもの背景や経済面についての配慮と支援

 

2.     学校で大切にしたいこと

分からないのは言葉だけじゃない。日本の制度、システム、学校のことなどなど、ちがうことを前提に伝えることが必要である。また、以下の点についても、該当生徒および保護者に聞き取りをし、保護者と学校とで情報共有する必要がある。

@  個別の指導計画の活用

国籍、来日時期・目的、在留資格、家庭環境、経済状況、成育歴、健康、宗教等の配慮事項、慣習、保護者、本人の思い、日本語指導のあり方等

A  進路情報と進学のための資金準備、就学支援金制度など

また、学校間連携として、連絡会の充実と「卒業したら関係ない。」ではなく、互いの立場から該当生徒を支えあうことが大切である。

 

続いて、京都府立鳥羽高等学校の大前久美子さんより「外国にルーツのある若者の指導と支援について」と題し、以下の実践報告があった。

 

1.     定時制高校の役割の変化

@  外国にルーツをもつ生徒の急増がみられる。中でも近年は、ネパールの子どもが増えている。

A  日本の中学を経験していない生徒たちが多くなっており、中学校との引継ぎができない(海外からの生徒は卒業証明書と成績証明書しかない)。

B  4月5月は本人たちに多くの書類を書いてもらわないといけない。個人票を作ったり状況の聴き取りを行ったり、日本語の能力テストなどを行う。この作業だけでも大変な時間がかかる。

C  家族も日本語ができない場合が多く、言語の壁を感じながら、多岐にわたる学校生活の支援している。

 

2.     高校での学びの保障

@  日本語学習については、授業で行うとともに、始業前 授業後にも個別指導を行っている。

また、大学生や地域の国際交流センターの方にも、お世話になっている。

A  教科の学習での取り出し講座は、各言語で行っている。

B  取り出し講座以外の授業は、言語支援の先生に入っていただいて、行っている。

 

3.     高校での学びにおける課題

@  在留資格について、例えば家族滞在で来日している生徒の場合、保護者が死亡すると、在留の根拠がなくなる。

A  自分の将来について考える際、身近なところにロールモデルがないことは、大きな課題である。最近は、卒業生に話をしてもらっている。

 

 

実践報告を受け、大阪大学の今井貴代子さんより、現在の渡日外国人児童生徒の教育における課題について、以下の通り整理いただいた。

 

1.     在留外国人の人口動態と日本社会

@  人口動態と政府による外国人労働者の受け入れ施策

日本には、2024376万人の在留外国人が市民として生活している。

1980年代まで 在日韓国朝鮮人が中心であった。

1989年に入管法改正で、南米を中心に日系人が日本に戻ってきた。

2019年の入管法改正により、日本の労働力不足も手伝い、多くの外国人が来日することとなった。

 

A  日本での公的なヘイトスピーチ、排外主義、秩序管理

外国ルーツの人を守るための人権擁護の法律が全くない。

外国人政策については、外国人をどう管理し、秩序を持たせるかというものしかない。

外国籍の子どもは就学の義務がない。

外国ルーツで多様な文化を持っている子どもを日本の子どもをどのように一緒に学ばせていくかという体制もない。

排外主義(例えば、三重県の県職員採用による国籍条項の復活や茨城県の不法滞在者を通告すればお金がもられるなど)により、自分はこの国にいてもいいのだろうかという思いにさせている。

外国人は何か危険を冒す人という考えが、日本社会に広がっている。

外国ルーツの子どもの権利保障には、日本の子ども達の人権意識を育むことが大事である。

外国ルーツの子どもをしっかり受け入れていきましょう。

高校入学については、外国ルーツの生徒に対する特別枠を設定する必要がある(高校の入試制度だけでなく、外国ルーツの子どもを受け入れる準備が小学校、中学校もできているのか)。

日本社会が外国人に対して排斥に向いているので、在留資格は命のようなもの。教職員は在留資格について、知る必要がある。

 

2.     教育における公正と包摂

多様性が広がっているのは世界中どこでも言えることである。

一方で、排外主義も増えているのは、日本に限ったことでだけではない。

多様性を「欠損」ではなく「強み」と捉えたい(子ども達の持つ力や可能性を資源としてとらえる資源ベースの教育が必要)。

「実質的平等」を指す「機会を重視」する公正の概念で教育を考えていく必要がある。

 

 3人の方からの実践と問題提起を受けて、後半はパネルディスカッションを行った。中でも印象的で、示唆に富む発言をいくつか示しておく。

 

 ・目の前の外国人生徒にも、人生があると思っていただければと思う。

 

・渡日生徒たちは、SNSや街頭演説を聞いて「日本人ファースト」という言葉に非常にショックを受けている。そういうものが、学校の中にも忍び寄ってくるのではないかと思っている。それを心配している。外国ルーツの生徒もそういうことを耳にして心配しているかもしれない。教職員のなかにも日本人生徒の方が暗に大事だという見方が広がっていないか。口では言わないが、そういう雰囲気が忍び寄ってくるのではと心配している。人間、何人であっても同じ、お互い尊重していかないと生きていけない。

・教育者でさえも、外国人の増加を不安に感じているかもしれません。私は目の前の生徒たちの将来を心配しながら見ている。一人でも多くの人がお互いを尊重して社会を作ってくれたらと思う。

・外国につながる子どもは生きづらい。この子はどこに問題を抱えているかなと思った時に、どことつながれば解決できるかと考えてほしい。その思いを持ってほしい。京都市には「外国人教育方針」がある。これをしっかり活かすことが大事。民族差別をなくす教育、お互いを尊重する教育方針があることが現場の強み。しっかり進めていきたい。

 

 

     

  

 

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